実施概要8月の名古屋大学オープンキャンパスに合わせ、大学博物館ガイドツアーを開催しました。
日本在来馬の一種である木曽馬、「第3春山号」の骨格標本について、 木曽という山間部の生活に適した身体的特徴と、木曽での生活を紹介しました。 展示からは蹄がぶ厚く、X脚であるという特徴を確認することができます。 参加者の中には、ガイドを聞きながら特徴のあらわれている部分をじっくり観察している方もいらっしゃいました。 初めてのガイドツアーで拙いところも多かったと思いますが、聞いて下さる方の反応に励まされて話すことができました。 ちなみに、「第3春山号」の剥製標本は長野県の開田郷土館にあります。 たてがみなど、骨格標本とはまた違った特徴を見ることができます。 (B3 市川) 名古屋大学医学部で教材として用いられていた、ムラージュという皮膚疾患の標本模型について解説しました。 ムラージュの作り方や日本への来歴などの概説が話の中心となりましたが、 天然痘との関連から、自分の専攻している文学も少し紹介することができました。 反省点としては、立ち位置が悪く、参加者と標本との間をふさいでしまったこと、 話を聞いて下さる方の目を見ることができなかったこと、などがありました。 いざ人前に立って話そうとすると、緊張もありますが、なかなか難しいものだなと思います。 一方的に話し続けるだけでなく、やり取りを楽しめるくらいの余裕が持てるようになりたいです。 (B4 宇野) 「見えるもの」から「見えないもの」について考える、というテーマでトークを考えました。 まず、クリアストーリー(建築用語で、高いところにつくられた採光用の窓のこと)を見てもらいながら、 現在の博物館の建物が昔は図書館だったことを話しました。 そこから図書館建設費用の寄付者である古川為三郎氏のエピソードを話して、 「見えないもの」なんだけれど、大学と社会との関係というのが確かにありそうですね、という話をしました。 やや強引な話でしたが、参加された方に熱心に聞いてもらえて良かったです。 主な参考資料は「名大史ブックレット4」です。 名古屋大学のWebサイト(こちら)から入手できますので、興味がありましたらご覧ください。 それにしても三日間とも暑くて、汗でポロシャツが背中に貼り付いていたのがちょっと恥ずかしいです。 (D1 清水) ![]() サンタナ層の魚類化石について解説をしました。 地層中で特殊な保存がされたため、立体的に残っているのが特徴的な化石です。 どのように保存されたのか、紙芝居を用いて解説しました。 ガイドの中で参加者の皆さんに他の化石と違う箇所を聞いたところ、想像していたものと違う答えが返ってきました。 想定外の答えに少し焦りましたが、そこがガイドの面白さであると感じました。 (B2 依田) 最近ではすっかり身近なものになったLEDですが、その開発過程に様々な困難があったことはあまり知られていません。 解説では青色LEDの重要性やその開発の歴史、名大との関係などに関して紹介しました。 光の3原色に関する話題では光を分光するシート(回折格子)を参加者の方にお配りし、光の3原色を体感していただきました。 これまで何度も青色LEDの解説を行ってきましたが、回折格子を使用した解説は今回初めての試みです。 最初にシートをお配りした時はみなさん「なんじゃこりゃ?」という表情でしたが、 解説時には展示を見ながらしっかりと使っていただけたようで、安心しました。 (M1 望月) 奈良坂源一郎氏による『蟲魚圖譜』について解説しました。 展示されているのはミヤコドリとニシキエビを描いたものです。細部まで丁寧に描き込まれている点が特色の一つですが、 よく観察すると部分による描き方の違いなどに気が付きます。 『蟲魚圖譜』は、動植物について研究・記録する本草学の系譜に連なることが指摘されており、 本草学の世界では、実際に観察して描くだけでなく、既存の絵を写すこともあったようです。本作に見られる描き方の違いには、 模写の可能性も考えられます。遺された作品からあれこれ想像してみるのも楽しいものです。 当日は毎回10名以上の方にご参加いただき、残念ながらガイド時は全員に間近で作品をご覧いただくことは出来ませんでしたが、 みなさん熱心に耳を傾けて下さり、ガイド後にじっくり観察して質問される方もいらっしゃいました。 (B4 北山) パロの説明から、ロボットの歴史とこれからについて考えていくことを目的としました。 医療施設やケア施設で子どもや老人の心を癒すパロは、ロボットという視点から見るとちょっと面白いものだと思います。 そもそもロボットとは、もともと「人間の苦しい労働を肩代わりするもの」でした。 最初に姿を現したロボットは、チェコ人作家カレル・チャペックの戯曲に登場する人型の人造機械と言われています。 苦しい労働を担い均一に評価される従来の工場用ロボットに比べると、 人間を癒す仕事を行い、人によって評価も異なるパロは、少し変わった立ち位置にいると言えます。 これからどうなっていくかは分かりませんが、パロに目を凝らせば、その過去と未来が見えてくるでしょう。 多少難しくて頭でっかちな話になってしまいましたが、 反応をお伺いしていると、参加された方と一緒にパロについて考えることが出来たように感じます。 パロの可愛い容姿に助けられたのかもしれません。 (B4 梶川) 編集後記今年のオープンキャンパス博物館ガイドツアーでは、各回3~4名のスタッフが参加し、3日間を通じて計7点について解説しました。 3日間を通してご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました! |