日時:2012年3月23日 10:30- 須恵器(すえき)の中でも杯(つき)類という食膳具の分析をおこなった。分析対象とした地域は尾張地方であり、時期は7世紀末から9世紀前葉頃までの律令体制が成立、成熟していく時期とした。杯類の法量分化という点に着目することによって、律令体制下における尾張の須恵器生産の在り方について考察した。資料分析より、尾張猿投(さなげ)窯では8世紀中葉から法量規格の規制をするという形で、中央国家が生産に干渉するようになると指摘し、7世紀後葉の変化はそれとは性格を異にする画期であると論じた。一方、尾北(びほく)窯においては7世紀後葉段階に、限定的ではあるが、中央国家による干渉が認められるが、官窯的・官営工房的と評価するには問題があると指摘した。 |